【夫の実体験】美容院に行けなくなったMCS妻の髪、どうしてる?ド素人の私がハサミを握り、カットに挑戦し続ける理由
こんにちは、夫の静(しず)です。
妻の葵が化学物質過敏症(以下、MCS)を発症してから、私たちの暮らしからは当たり前だった多くの日常が失われました。
その中でも、女性にとって特に切実な問題の一つが「美容院に行けなくなったこと」です。
元々子どもの頃から美容院特有のニオイが苦手だったと語る葵ですが、MCSを発症してからは、サロンの前を通り過ぎるだけでも息苦しさを覚えるほど、完全な立ち入り禁止エリアとなってしまいました。
「美容院に行けないなら、伸びていく髪の毛はどう整えているの?」
同じような悩みを抱える方に向けて、今回はわが家の「夫の奮闘と、髪型に込めた想い」をありのままに共有したいと思います。
結論から言うと、現在の葵の髪はド素人である私が定期的に整えています。
最初は冷や汗の連続でしたが、回数を重ねるうちに夫婦のかけがえのないコミュニケーションの時間へと変わっていきました。
私たちの試行錯誤の日常が、同じ悩みを持つ方の心をフッと軽くするヒントになれば幸いです。
- 美容院がMCSにとって最大の難所となる理由
- 散髪経験ゼロの夫が挑戦した「おうちカット」の失敗と現在のスタイル
- 肌に合う化粧品が少ない妻へ。髪型のおしゃれを諦めさせたくない夫の願い
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1. 美容院は化学物質の温床。前を通ることすら困難になった現実
一般の方にとってはリフレッシュや自分磨きの場である美容院。
しかし、空気中の微量な化学物質に反応してしまうMCSにとって、そこはあらゆる刺激臭が密閉空間に凝縮された「最も過酷な環境」の一つです。
- パーマ液・カラー剤・ブリーチ剤の揮発成分
- 他のお客さんやスタッフから漂う濃厚な香料
- 仕上げに使われるヘアスプレー、ヘアオイル、整髪料
- タオルを洗う洗剤や柔軟剤の残り香
これらが四方八方から立ち込める空間に1〜2時間座り続けることは、今の葵にとっては到底不可能です。
換気扇からニオイが排出されている店舗の前を通る際も、息を止めて早足で駆け抜けなければならないほど、警戒すべき場所になってしまいました。
2. 解決策は「夫による散髪」!ド素人がハサミを握った奮闘記
美容院へ行けない以上、放っておけば髪は伸び放題になってしまいます。
家で切るしかないね
……ということで、私が葵専属の美容師を務めることになりました。
ネットで散髪セットを購入。
YouTubeのヘアカット解説動画を何度も一時停止しながら見様見真似でハサミを入れる挑戦がスタートしました。
人の髪の毛を切った経験など人生で一度もなかった私。
「失敗したらどうしよう……」と、強烈なプレッシャーを感じたのを覚えています。
初めての挑戦は「前髪」:大失敗のパッツン事件
最初の挑戦は前髪のカットでした。
「少しずつ切れば大丈夫だろう」と慎重にハサミを入れたつもりだったのですが……気がつけば、定規で引いたかのような見事な「パッツン前髪」に。
慌てて微調整を試みるも、切れば切るほど短くなっていくお約束の展開に。
(これはヤバい。申し訳ない……)
ショートヘアへの挑戦と、現在のスタイルへの移行
元々、葵はすっきりとしたベリーショートが定番スタイルでした。
前髪の経験を経て「全体のショートカット」にも果敢に挑戦。
全体のフォルムはなんとか形になったものの、プロのような繊細な毛先の馴染ませができず、毛先がガタガタになってしまい、申し訳なさで胸が痛みました。
ショートヘアは数ミリの狂いでシルエットが崩れ、頻繁にメンテナンスが必要になります。
そこで夫婦で話し合い、現在は「ある程度の長さまでロングに伸ばし、毛先や毛量を定期的に整えるスタイル」へとシフトしました。
ロングにしてまとめ髪(ヘアアレンジ)にすれば、多少のカットの粗さもカバーでき、夫のカット作業も無理なく続けられます。
3. いつかはまたプロに……髪型のおしゃれを諦めさせたくない理由
現在の「おうちカット」で日常の身だしなみはキープできていますが、夫としてはやはり「いつかまた、プロの美容師さんの手で綺麗に整えてあげたい」という願いがあります。
MCSを発症してから、葵はそれまで使用していた市販のメイク用品やスキンケア化粧品、日焼け止めなどがほとんど使えなくなりました。
女性としてのおしゃれの選択肢が大きく削ぎ落とされている中で、「せめて髪型くらいは、好きな形にしておしゃれを楽しんでほしい」と思うのです。
全国を探せば、「無香料・完全無添加・完全貸切」でMCS患者を受け入れてくれるMCS対応のヘアサロンも存在するようです。
しかし、そうした専門店は全国的にも数が非常に少なく、わが家からは遠方ばかり。気軽には通えないのが現状です。
だからこそ、新天地への移住計画を進める中で、安心して通えるサロンや美容師さんとのご縁も見つけていきたい、という未来の目標が一つ増えました。
まとめ:不器用なハサミの音と、夫婦のあたたかい時間
妻がMCSによって美容院へ行けなくなり、私がハサミを握るようになって数年。
最初のパッツン前髪の失敗から始まり、今ではビニールを床に敷いて、ケープを巻いた葵の髪をチョキチョキと切る時間が、わが家の穏やかな日常のワンシーンとして定着しました。
家庭でおうちカットを続けるための3つのヒント
- 完璧を求めない:
プロの仕上がりを目指さず、「清潔感を保てれば大成功」とハードルを下げる - 失敗が目立ちにくい髪型を選ぶ:
こまめな調整が必要なショートより、結べるセミロング・ロングが維持しやすい - カットの時間を楽しむ:
失敗も笑い合いながら、夫婦の対話時間に変えていく
外のサービスを利用できない不便さは確かにあります。
でも、リビングに響くハサミの音を聞きながら、「いつもありがとう」「今回は前より上手く切れたかも」と言い合える時間は、MCSにならなければ得られなかった、かけがえのない夫婦のひとときです。
できないことを数えて嘆くより、家の中でできる小さな工夫を笑顔で積み重ねていく。
その優しい歩みが、同じようにサロン通いを諦めて悩んでいるあなたとご家族の心を、あたたかく包み込むきっかけになりますように。
明日も妻の笑顔のために、腕を磨きながらサポートを続けていきます!
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