化学物質過敏症(MCS)を発症した妻。

顔や手の症状が少しずつ落ち着き、リハビリを兼ねて外出を増やし始めた頃、

私たちを待ち受けていたのは『香害』という容赦ない壁でした。

本人が一番辛いのは百も承知。

しかし、そばにいる私もまた、

どうすれば妻の苦痛を軽減できるか

という試行錯誤の毎日でした。

今回は、夫である私の視点から、

外出時の肌刺激や、香害を回避するために実践した具体的な対策、

そして大好きだった外食を手放す決断をした経緯についてお話しします。

この記事を読むとわかる事
  • 過敏な肌を守り抜く「低刺激」アイテムの選び方
  • 香害から身を守るための「撤退」と「回避」の徹底ルール
  • 「外食」という楽しみを手放して得られた、心の平穏

自室で香害をブロックする葵と静
【夫目線】化学物質過敏症と香害への具体的対策4選。家でできる環境改善まとめ【体験談】 前回までの記事は、妻が化学物質過敏症(MCS)を発症したときの「驚きと戸惑い」、「後悔と決意」について書きました。 今回からは感...

外出時の肌刺激・衛生対策

過敏になった妻の肌にとって、日常の「当たり前」が凶器となりました。

そこで、私たちがたどり着いた解決策をご紹介します。

①「シルク100%」のインナーマスクを導入する

不織布はもちろん、綿100%ですら内側の毛玉が刺激になるほどの超敏感肌状態。

そこで、最も刺激が少ないとされるシルク100%のインナーマスクを採用。

その上に通常のマスクを重ねることで、肌トラブルを回避しました。

なお、このインナーマスクは、優しく手洗いすることで、

何度でも使いまわすことができます

②手を洗った後は必ず「水だけぬれコットン」で手を拭く

トイレなどで、外出先での手洗いは避けられませんが、

公共の水道水(残留塩素)や薬用石鹸は妻の手に大きなダメージを与えます。

私たちが行った対策は、携帯用の石鹸とお手拭きを持ち歩くこと。

これらを常に携帯し、石鹸で洗った後に拭き取ったり、

お手拭きや口元の清拭に活用しました。

実はこれ、赤ちゃん用なのですが、MCSの妻にとっては救世主となりました。

③手指の除菌は「ピリカレ石鹸スプレー」で代用する

店舗入口のアルコール消毒は、刺激も匂いも、妻にとっては毒素でしかありません。

なので、私たちは自家製の「ピリカレ石鹸スプレー」を持ち歩き、

手指や持ち物の消毒に使用。

刺激を抑えつつ、清潔を保つことができました。

香害に遭遇した時の「基本戦術」

屋外・屋内を問わず、いつどこで香害に襲われるか分かりません。

以下の「徹底した回避行動」をルール化しました。

④香害を感じたら「即離脱」する

香害を感じたら、たとえ買い物の途中でも、行きたい場所があっても、その場を離れる

歩いて来た道を、わざわざ逆戻りすることだってありました。

近くを歩く人が香害源だった場合、状況によってはその場で待機する事もあります。

基本的で単純なことですが、症状を悪化させないためにとても重要だったのです。

⑤大回りしながら進む

妻は高感度センサーを持っています

香害をいち早く感知し、あえて大回りすることも多いです。

全く知らない道を、感覚だけで進むことも珍しくありません。

「これはいい運動だ」「いい近道を見つけた」

そんな風にポジティブに捉える心の余裕も必要でした。

⑥妻の「大丈夫」を却下する

妻は自分のせいで時間がより掛かっていることを非常に気にしており

「もう大丈夫」「進めるよ」と、無理をします。

私は責任を持って、問答無用で回避を優先させました。

大好きだった外食を手放した日

飲食店だというのに、過剰な柔軟剤や香水の匂いが漂っているという現実。

私たちは、心がすさむような日々を乗り越え、一つの決断をしました。

⑦外食から一度離れ、テイクアウトや出前を利用

  • 店前の行列が「危険地帯」: 混雑した場所は、香害の密度が高すぎて息すらできません。
  • 店員の香害: 料理を運ぶ店員さんの服から漂う生乾き臭や柔軟剤。それだけで食欲は消え失せます。
  • 後から来る客: 入店時は大丈夫でも、後から隣に来た客の香害でノックアウト。大急ぎで食べて退店する悲しい食卓。

大好きな外食なのに、妻が辛そうに耐えながら食べる姿。

それを見るのは、夫としても胸が締め付けられるほど辛いものでした。

私たちは「外食を楽しむこと」を一度手放しテイクアウトや出前を活用

私が食事を受け取るスタイルに変えることで、ようやく穏やかな食事の時間を取り戻しました。

おわりに

行きたい場所に行けない。

食べたいものが食べられない。

MCSとの生活は、何かを諦めることの連続かもしれません。

でも、無理をして傷つくより、今の自分たちにできる『安全な選択』を重ねることが、心の平穏への近道でした。

もし今、外出や外食で苦しんでいるご家族がいれば、どうか無理をせず、一歩引く勇気を持ってください。

守れるのは、一番近くにいるあなただけですから

次回予告|外出時の香害対策、公共交通機関編

次の記事では、「外出時の香害対策:公共交通機関編」として、MCS発症後、車を持ってなかった私たちの公共交通機関での苦労や、対策などについて書きたいと思います。

  • バス問題
  • 電車問題

当事者・家族にとって、実用性の高い内容にまとめたいと思います。

「気のせい」じゃない、体のSOS。改めて知る「化学物質過敏症」の基本まとめ 私たちの生活は、便利なものに囲まれています。 いい香りの柔軟剤、汚れがよく落ちる洗剤、ピカピカの新築の家……。 でも、そう...

実践される際はご自身の体調に合わせてご判断ください。詳細は[免責事項]をご確認ください。